神戸ことはじまり

こんにちは、甲南大学の樋口です。今回は、生活協同組合コープこうべさんの記事を書かせて頂きます。

コープこうべのシンボルの1つ食品工場

コープこうべの「六甲アイランド食品工場」
六甲アイランド食品工場
コープこうべは、食品を販売するだけでなく、製造ラインももっているのです。この食品工場では、コープこうべのオリジナルブランド「コープス」を作っています。「コープス」は、おいしさだけでなく健康や環境にも配慮して作られています。
この1つの食品工場で、とうふ、こんにゃく、パン、餅、麺類など約500品目の食品がつくられ、24時間稼働しています。これがコープこうべの大きな柱です。


1日1万個のヒット商品!!

そんなコープこうべで有名なのがこの商品です。
これはなんでしょうか?
メロンパンの型
メロンパンの型です。

神戸ハイカラメロンパン(左)、サンライズ(右)です。神戸の人の多くは、このラグビーボールの型をメロンパンと言います。
私は市外の人間なので、サンライズの方がメロンパンという認識だったので、びっくりしました。このラグビーボール型に、白餡とマーガリンが入っているメロンパンは50年ほど前に、コープこうべで開発されたものなのです。


実は、菓子パンの職人さんが、神戸の金物屋さんを訪れているときに、オムライスを作る型と栗まんじゅうをヒントに作り出したものなのです。
昔は、まくわ瓜のことをメロンと呼んでいたので、まくわ瓜を真似たこのようなラグビーボールの型をメロンパンと呼び一方、他の地域で一般的に言われている、丸い形をしたいわゆるメロンパンを、太陽の形に似ていることから、サンライズとよんでいました。なんで今でも神戸の人の多くは、ラグビーボールの型をメロンパンというそうです。
今では、コープこうべの菓子パン部門での売上1位のトップ商品です。


美味しいミニメロンパンが出来上がるまで


今回、菓子パン部門の吉本さん(左)と商品開発の磯さん(右)に案内して頂きました。
早朝から、作られているミニメロンパンの取材をさせて頂きました。
ミニメロンパンは、メロンパンをそのまま小さくしたものなので工程は同じです。

まず、中種仕込みをして、発酵をさせます。
小麦粉・塩・イーストなど材料をミキサーに入れ、生地をこねます
そして、2時間ほどねかせます。
部屋の中は、あたたかく湿度は70度もあります。発酵しているのでアルコールのにおいがします。
ここで難しいのは季節によって湿度など調整する管理です。夏場は湿度が高く、冬は乾燥しているので、水を多めにして湿度をあげるそうです。

職人さんは中種の発酵する前、発酵途中、発酵が完成している段階をみるだけでわかるそうです。
他にも見分け方としては、生地が伸びるか伸びないかなど、発酵する前とした後にこんなに違うんです。

そのあと、この機械で本ごねします。
砂糖・塩・油などをいれて、こねて、さらに30分寝かせます。

捏ね終わったらこんなに伸びるんですね。



昔は、「分割する」「丸める」「のばす」等の工程を別々の機械で行っていましたが、この一貫生産ラインを導入したことで機械による生地のいたみが少なくなり、効率よく生産することが可能になりました。
これにより、ふんわりした食感を生むようになったそうですが、ラインを入れ替えた当時は「長年のお客様から味が変わりましたね」と言うお声をもらったそうです。
よりおいしいパンをご提供したいという思いと、組合員が食べ慣れているパンの食感とずれてしまったり、パン作りの難しさを実感しているそうです。
お話をお伺いして、そのパンの生地の違いがわかるほど、お客様にご愛用されいるメロンパンだと、私は感じました。

次にこの機械で白餡を練りこんでいきます。

生地を一つずつの大きさに分け
できあがった生地に型をかぶせていきます。





型の大きさにふくらむまで醗酵させます。

オーブンで焼き上げます。

焼きあがりました。

型を手作業ではずしていきます。

メロンパンは4階から約40分間レーンに乗りながら
荒熱をとって、流れてきます。



タワーから出てきたメロンパンを機械で包装します。

ミニメロンパンが出てきました。工場内では、マーガリンのにおいが立ち込めています。
とても美味しそうです。


美味しいメロンパンをつくる手間暇

例えば、メロンパンの型。これは、新しく使用されるまでに半年間カラ焼するそうです。
メロンパンの型
型を焦がしていないと熱が反射して、メロンパンに焼き色が入らないとのこと。型が黄金色になるとようやく焼き色が安定するそうです。
また、型をかぶせて焼くので、蒸し焼きのような状態になるそうです。なのでふんわりした食感が実現できるそうです。


自分たちの食べるものを自分たちの手で

先ほどご紹介したこのミニメロンパン。これはコープの宅配専用の商品で、神戸ハイカラメロンパンをちょうど半分にした大きさです。
この宅配事業、コープの売上の3割だそうです。

実はコープのもう一つの特徴は、組合員のみなさまの声を商品開発に生かしているという点です。
商品開発の磯さんに教えていただきました。
コープでは商品開発をする際、コープ商品協議会といって、組合員に、実際に試作品を食べて頂いて生の声を反映させるなどしています。
他にも、おいし差キャンペーンなども実施しています。おいし差技票キャンペーンとは開発、改善予定の「コープス」商品の試作品【A】と【B】を食べ比べ、「おいしい!」と思ったほうを組合員にご投票いただき、その声を反映させて作る、組合員参加型の商品づくりキャンペーンです。
また、工場内では、職人による自由な発想の「商品開発コンテスト」を実施しています。2007年には、そこで提案された抹茶メロンパンが実際に販売されました。
「よりいいものをより安く」そんな思いで、消費者の声を、消費者のために日々さまざまな努力がされているのです


商品の作り手としての思い。

菓子パン部門の吉本さんと商品開発の磯さんに、商品作りのなかで一番好きなことをお伺いしました。
菓子パン部門の吉本さんが一番楽しいと感じることは菓子パンを作る過程の中ではオーブンだそうです。確かにパンで一番大事な部分は生地を仕込む、中種や、発酵の部分ですが、それがきちんと上手くいっているかがわかるのはオーブンで焼きあがるときです。また、組合員の口にはいるのと同じものをえれるという部分で、一番やりがいを感じるそうです。
また、商品開発の磯さんは、「組合員のみなさんにおいしいと思っていただきそして、自分の関わった商品がヒット商品になり、組合員さんに支持いただけるものになることがうれしい」とおっしゃいます。
コープでは、菓子パン部門で古くから「レーズンジャンボ」という商品があります。かつてはとても人気でしたが年々人気が落ちてきていました。
「レーズンジャンボ」は、もともと1970年代にジャンボジェット機が導入された時期に生み出され、形がとても大きく、他社にはない商品でした。
製品ロットに達しないと、販売が中止になります。すると、売れ行きが下がった理由を考えた磯さん。最初は、昔より家庭の人数減ったのでこんなに大きなパンは売れないのではないのか、もっと大きさを小さくしてみてはどうかと考えたそうです。
そこで、組合員さんたちに意見を伺ったそうです。そこで意外な答えが返ってきました。「大きさが中途半端だ。1人で食べるには大きいし、2人で食べるには中途半端」かつて、小麦が値上がりした時期に販売価格を維持するために、大きさを一回り小さくした事がご支持をいただけていない要因であることが分りました。
そして、この他にもたくさんの組合員さんのご意見を伺いました。
磯さんは思いました「レーズンジャンボは大きい方がいいんだ」と。
そこで、今までより、大きくして生地もやわらくしてみました。現在、売り上げは上がっているそうです。
組合員さんの意見はとても大きいという磯さん。それがコープの商品開発の強みだとお伺いして感じました。


消費者の要望と社会のニーズのご提供

コープこうべオリジナルブランド、「コープス」。「コープス」は安全安心で健康や環境にも配慮した商品をご提供しています。コープこうべは、どこよりも早く、安全性に疑いのあった食品添加物の使用をやめた組織です。
常に、組合員さんのことを一番に考え、組合員さんのために努力を惜しみません。
「コープス」の一番の特徴の1つは、健康志向。おいしさを追求すれば、たしかに塩分を多めにしたり、油分を多くすれば、味が濃くなったりするでしょうが、おいしさを損なわない範囲の中で、できるだけ低減するようにしています。また品質、味、価格にもこだわっています。
「コープだから安心」といわれることがとてもうれしいといいます。
そのためにも、こうした努力をしながら様々な商品を生み出してきています。


取材手記

私は、コープ独自で工場を持ちオリジナルブランドを作っているのは知りませんでした。工場でも、1つの工場で、とうふ、こんにゃく、パンなど、様々なものが作られているのは非常に珍しいとのことでした。今回、メロンパンの取材でしたが、メロンパンというイメージが神戸ではラグビーボールというのをお伺いして改めてびっくりしました。
コープこうべのお母様方への影響力はすごいなと思った反面、組合員第一の視点がその影響力につながっているのだと実感しました。



Posted by KOCO2010 at 14:24Comments(1)
歴史ある有馬温泉の老舗・御所坊に訪問取材

有馬温泉 有馬温泉は全国的に見ても歴史は古く第34 代舒明天皇(593〜641 年)、第36 代孝徳天皇(596〜654 年)の頃からで両天皇の行幸がきっかけとなり有馬の名は一躍有名になりました。また、かの豊臣秀吉が天正11(1583)年に有馬を訪れ、その後再三訪れたことで有名です。なお、幕府の直轄領でもあり今日まで至っています。
 1191 年に有馬温泉で創業した旅館で、現在、個性のある店舗等を展開している御所坊グループのルーツである「陶泉 御所坊」さんにお伺いしました。御所坊は小説家である谷崎潤一郎や詩人である与謝野晶子や作家の吉川英治など歴史的な芸術家や文化人に愛され、作品に出てきたり歌に詠われたりしています。


取材前に有馬の朝市に少し寄り道

朝市朝市

 有馬温泉は今や名物となっている朝市が開催されています。今回取材させていただいたのは1年のうち限定で開催されている門前市(2010 年は10月24 日~11月14 日の日曜日でした)。これは昔、明石など海沿いの街の商人が有馬に行商に来ていた頃をモチーフにして開催されています。

 実際に私たちが訪れた時も明石の海の幸を使った佃煮などが販売され、また骨董品なども販売され海外の方も交えて非常に盛り上がっていました。
さて、左の写真は金泉焼と言う有馬名物の御餅のようなお饅頭です。小麦と大豆と山芋を原料とした山岳の街有馬らしいお菓子です。実は試食させて頂きました。昔懐かしい味で幾つでも食べられるぐらいの美味しさで日本茶が欲しくなってしまいました(笑)。


知らないと損します。有馬の新名所
有馬玩具博物館


 今回、御所坊は金井庸泰さんに御案内して頂きました。金井さんは御所坊だけでなく、有馬全体をさらに活性化させようと様々な取り組みをされています。御所坊さんにお伺いする前に有馬玩具博物館も御案内して頂きました。




 有馬玩具博物館は1950 年代後半にドイツで始まった「子どもの遊び」や「子どものためのおもちゃ」の重要性を説く運動に共感して設立された施設です。子どもが育っていく過程の中で、どれほど遊びが重要な要因を占めるかを改めて認識できます。子どもにとっての「遊び」は「学び」と同じと言う意味ですね。実際におもちゃは「遊んでなんぼ」と言うことで、見るだけでなく、実際に触って遊ぶこともできます。



 当然子供だけでなく、大人も楽しめます。写真のジオラマはすべて手作業で作られたドイツの街をイメージしています。木1 本から建物までまるで本物のようで見ているだけでワクワクします。1 日に3 回鉄道が運転され部屋の照明が消えて、模型の建物に灯が灯り、電車が街中を走る様子はとても幻想的です。


モダンな雰囲気漂う御所坊

 御所坊はお客様に温泉街外周をまわって車をとめて頂くことで、狭い町中を歩行者の方が安心して歩ける町作りを目指しています。駐車場からは写真のロンドンTAXIで送迎してもらえます。取材の時も送迎して頂きました。レトロな雰囲気でロンドンTAXIから見る有馬の景色は何とも言えない大正時代を彷彿してしまう雰囲気は格別ですね。


 旅館に入ると木造特有の懐かしい良い香りがします。写真は御所坊入口ロビーにあるコタツと何と火鉢です。
案内していただく準備待ちの間ロビーの風景にうっとり。レトロな雰囲気に浸っていると自分が文化人になったような錯覚を起こしてしまいます(笑)。




最初に別館のお部屋を見せて頂きました。モダン・レトロと言う言葉がぴったりな佇まいです。こんな大人の旅行したいですね(笑)。長い歴史のある旅館特有の魅力がたっぷり詰まっています。



こちらは本館のお部屋になります。パッと見通常の純和風のお部屋に見えますが、よく見るとお部屋の梁など少し違う・・・。昔からある建物なので建て方が今日の建築技術と異なっています。お部屋の随所に歴史や時代を感じることができ、空想を駆り立ててくれます。こちらのお部屋の玄関には谷崎潤一郎に関連するものが展示してあり、見ることができます。かの小説家谷崎潤一郎は小説「猫と庄造と二人のをんな」の中に実名で御所坊を描いています。御所坊に宿泊しペンを進めていたと思うとたまりませんね。


凛とした佇まいの中庭を案内していただきました。中庭を抜けると檜の湯船が・・・。こちらは特別に作られた場所です。湯船に浸かりながらお酒をのみ、四季によって代わる日本庭園を眺める。そんな風流な楽しみ方をするために造られた空間で、水琴窟も近くに設置され、心地よい音色を聴くことができます。
歴史ある温泉地有馬温泉。その中でも最も古い歴史を持つ旅館の1 つ御所坊。神戸の山々は四季折々のカラーで訪れる人々を魅了してくれます。その山の持つ自然の魅力を演出してくれる旅館と言えます。その魅力は歴史的な著名人を魅了し続け今日も旅館を訪れる人々を魅了しています。神戸にお住まいの方は近い場所に凄く歴史的であり魅力的な場所が有馬です。ブログをご覧になった方は、百聞は一見にしかず是非一度訪れて肌で感じて頂きたいです。


編集後記

 今回取材させていただいた時期は丁度紅葉のピークの時期で山々は色づきとても綺麗でした。ちょうどこの原稿をお読みいただいている時期は冬だと思います。神戸は海と山が近い街です。
 冬は凛とした雰囲気の山を楽しむことができ、春になると山々は青く新しい息吹を感じることができます。1191 年に有馬温泉で創業してから途切れることなく今日まで至っているのは、長い時間を積み重ねてきた歴史ある旅館御所坊が有馬の魅力を存分に伝える旅館だからでしょう。
【追記】
有馬の朝市は年4 回ほど期間を設け、その中の日曜日に開催されています。開催期間につ
いては有馬の観光案内所に御確認よろしくお願い致します。

【有馬観光協会】
http://www.arima-onsen.com/

【陶泉 御所坊】
■住所 〒651-1401 神戸市北区有馬町858
■TEL 078-904-0551
■URL http://www.goshobo.co.jp/goshobo/

【有馬玩具博物館】
■住所 〒651-1401 兵庫県神戸市北区有馬町797 番地
■TEL 078-903-6971
■URL http://www.arima-toys.jp/about.html

【金井さんプロデュース有馬情報サイト有馬里】
■URL http://alimali.jp/docs/


Posted by KOCO2010 at 10:22Comments(3)有馬温泉物語
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